再会

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禅がこぼした名前に沙希が驚いた。 「茜ってまさか……あの事件の……?」 沙希の問いかけは禅に聞こえていなかった。 「なんで……ここに………?」 禅が声を震わせながら尋ねると、茜は雨に打たれながら言った。 「……ごめん…なさい…………」 その呟きに、禅は怒りをあらわにした。 「ふざけんな!今さら現れてなんのつもりだ!」 「……わかってる。………それでも、どうしても謝りたかったの」 禅は歯を食いしばって怒鳴ろうとした。 しかし、それより早く沙希が雨の中に飛び出して茜の頬を叩いた。 「謝って自分が楽になりたいだけでしょ!?禅はあんたのせいで大好きだった音楽をやめたんだよ!? それでも、もう一度音楽を始めて、最近やっと笑えるようになってきたのに、……どこまで禅を振り回せば気がすむの!?」
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