5105人が本棚に入れています
本棚に追加
/595ページ
沙希が演奏を終えると、翔を含めた禅以外の歌を聴いていた人間から拍手が送られた。
「ありがとぉ♪」
沙希はニコニコしながら左手を振ってこたえた。
そしてニコニコしたまま禅に尋ねた。
「どうだった?」
禅は目を閉じてため息をついた。
「……いい声してるよ」
「そう?ありがとぉ」
禅の言葉に沙希は驚いてからニコニコ笑った。
「でも」
禅は閉じていた目を開いた。
「歌詞、曲、ギターの演奏、どれもダメだ。声だけじゃたかがしれるな」
禅は淡々とそう言うと立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!