再会

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「……今の俺と昔の俺は違う」 禅は不機嫌になってそう言ったが、茜は首を振ってそれを否定した。 「全部が一緒じゃなくても、禅らしいところは変わってないよ」 茜は寂しそうに笑ってそう言うと、禅に背中を向けた。 「……じゃあ、もう行くから。……………さようなら」 そう言って茜は雨の中を走り去っていった。 禅はその背中が見えなくなるまで見つめていた。 そして茜の姿が見えなくなると、雨の降る空を見上げて呟いた。 「……俺は変わったんだよ。……俺はもう………歌を書けないんだから」
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