失恋

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その言葉に翔はうろたえた。 「いや、沙希いるし、俺フラれたし……」 すると禅はタバコを取り出して、火をつけて言った。 「たしかにフラれたかもしんないけどさ、やっぱりあいつにとってお前は必要だと思うぞ?」 「……そうかな?」 不安げに尋ねる翔に、禅は大きく頷いて見せた。 「少なくとも、俺はそう思う。そうでもなきゃ、ガキの頃から今まで一緒じゃねぇって」 「……だな。んじゃ帰って第2ラウンドと行きますか、禅」 今まで『神谷』と呼んでいた翔が、突然『禅』と呼んだことに禅は驚いた。 しかし次の瞬間には口元を緩めて言った。 「あまり汚すなよ?お前らが帰った後は大変なんだからな、翔」
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