不覚

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結局、掃除を終えたのは空が茜色に染まった夕方だった。 禅は掃除道具をロッカーにしまい、規則正しく並べた椅子に腰掛けた。 「……疲れた」 背もたれに体を預けて天井を見上げた。 転校から1ヶ月たち、先週席替えをした。 席は窓際の最後尾。 秋にさしかかり、日差しもやわらかくなって昼寝には持ってこいだった。 近くに座る人間という要素を除いて。 隣の席には沙希。 前の席には翔。 授業中も休み時間も禅にはうっとうしいほど騒がしかった。
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