嘆息

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すると佐奈がおずおずと尋ねた。 「あの……茜さんって?」 「それこそお前には関係ない」 禅はそう言って立ち上がると、そのまま教室を出ていった。 「あっ!おい、禅!」 翔が慌てて禅を呼び止めたが、禅は止まらず屋上に向かった。 屋上は昼休みなどには生徒で賑わうものの、朝から屋上にいる者は禅の他にいなかった。 禅は不機嫌なままフェンスに背をあずけて座ると、内ポケットからタバコを取り出して火をつけた。 大きく吐き出されたタバコの煙は、春の強い風にあっという間にかきけされた。
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