嘆息

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「なんでだよ?」 翔が尋ねると、禅は目を閉じて大きくタバコを吐き出して言った。 「……俺は茜との一件以来、歌が作れないんだ。 歌詞も、メロディーも浮かばないんだよ」 禅の言葉に翔は首をかしげた。 「でも沙希の作った曲の編曲はしてるじゃんか?」 その言葉に禅は自嘲気味に笑って言った。 「もともと旋律があるからな。 それを編曲するのは昔の経験を頼りにやってるだけだよ。 新しい物じゃないんだ」 禅がそう言うと翔は何と言っていいかわからず言葉を失っていた。
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