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禅たちが3年生に上がってから最初のライブの日、禅は控室にこもっていた。
いつもなら他のタイバンを沙希や翔と見ているが、この日はどうしてもその気になれなかった。
理由はたった1つ。
観客だった。
観客の半数が禅たちを見に来た同じ学校の生徒で、その8割以上が女子だった。
そして最近になってその女子たちは自分に好意を抱いていることに気が付いた。
東京にいた頃は、それこそファンという存在はまわりのバンドに比べて遥かに多かった。
しかし彼ら、彼女らは歌い手の禅しか知らず、憧れを抱いていたにすぎなかった。
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