隣人

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「……………ただの偶然だ」 禅はそう言ったが、胸騒ぎがおさまらなかった。 すると沙希が真剣な表情で尋ねた。 「もし同じことが起こったら……、禅はどうするの……?」 その言葉に禅は動揺した。 付き合うつもりなんてない。 結衣のことはもうふっ切れたとはいえ、茜の件があったからとても恋愛なんて気にはなれない。 そもそも、いまだに人間不信は治っていないのだから。 「俺は……」 禅はそのまま沙希に伝えようとした。 しかし、 「うっ……!」 沙希は口をおさえてトイレに駆け込んで、聞きたくもない呻き声をあげた。 禅はその状況に、大きなため息をついた。 「……ったく、こいつは……女の自覚あるのか?」
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