隣人

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その問いに、禅は眉をひそめた。 「……なかったらなんだって言うんだ?」 禅が尋ねると、佐奈は両手を合わせて禅に頭を下げた。 「お願い!今日の放課後合唱部を手伝って!」 「……なんで俺がそんなことしなきゃなんないんだよ?」 禅が半眼で睨みながら尋ねると、佐奈が困ったような表情で答えた。 「今日、裕紀が学校休みなの。 だからピアノの伴奏がなくて困ってるんだよね」 その答えに、禅は視線を前に向けてキッパリ言った。 「断る。別の奴に頼め」 しかし佐奈は引き下がらなかった。 「他に頼める人がいないの! 引き受けてくれたら、休み時間の度にくる女の子たちなんとかするから!」
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