君の唄が響く丘

隣人

「あの、神谷先輩は裕紀先輩が来られるようになるまで来てくれるんですか？」

後輩の１人が尋ねると、佐奈は苦笑しながら禅を見た。

それに気付いた禅は顔をしかめて佐奈に言った。

「今日だけだ。
元々そういう約束だろうが。
それが守れないならもう帰る」

その言葉に佐奈は慌てて禅の腕を掴んで言った。

「ちょっと期待しただけだよ。
だから怒らないでよ」

佐奈がそう言うと、禅はため息をついてピアノの前に座った。

「楽譜よこせ」

禅が佐奈に向かってそう言うと、佐奈は鞄の中から楽譜を取り出して禅に渡した。