隣人

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それでも、合唱部員たちが時折禅をチラチラ見ていた。 禅は練習の間、何度もため息をついてその視線を無視し続けた。 練習が終わる時間になると、禅は佐奈に楽譜を渡して帰ろうとした。 すると、合唱部員の1人が禅に近付いてきた。 「あ、あの、神谷先輩! わたしたち、これからカラオケ行くんですけど、一緒に行きませんか!?」 その言葉に、禅は不機嫌そうな顔をして言った。 「この前行ったばっかだし、そもそもお前らと行く理由がない」 「ご、ごめんなさい……」 話しかけてきた部員が俯いて謝ると、佐奈がため息をついて言った。 「禅くん、もっと言い方ってものがあるでしょ?」
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