隣人

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「……どうして……そう思うんだ?」 禅が声を絞り出すように尋ねると、沙希は少し悲しそうな顔をして言った。 「誰かに心を触れられるのも、逆に誰かの心に触れるのも、禅は怖がってる。 だから自分の歌が作れないんだと、わたしは思う」 「……そうか?」 禅がキョトンとして尋ねると、沙希は小さく頷いた。 「禅は時間をかけてわたしに色々話してくれるようになった。 ……でも、わたしの心の中に入ってこようとはしてないよね?」 「それは……」 禅は違うと否定しようとした。 でも、それは出来なかった。
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