帰郷

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「……どうしたの?」 沙希がキョトンとして尋ねると、禅は舌打ちをして答えた。 「……実家からだ」 そう言って、禅は席を立って廊下に出た。 そしてディスプレイを一度睨みつけてから、通話ボタンを押した。 「……もしもし」 禅があからさまに不機嫌な声でそう言うと、電話から恐る恐るといった様子の声が聞こえた。 『……もしもし、禅?母さんだけど……』 「……何か用かよ」 禅が舌打ちをしてそう言うと、母が息を呑むのが聞こえた。 「……用がないなら切る」 『待って!用はあるの!』
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