帰郷

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ただ決定的に変わったのは禅と家族の関係。 1年前までは、むしろ仲のいい家族だった。 それが今では、2人がけのソファーに腰を下ろしている父は禅を軽蔑の瞳で見つめ、禅はその父を憎しみのこもった瞳で睨みつけていた。 「帰ってきたのか」 父が興味もなさそうにそう呟くと、禅は舌打ちをして乱暴に3人がけのソファーに腰を下ろした。 「あんたらが帰ってこいって言ったんだろ」 禅が父に視線を向けることなくそう言うと、母が父の隣に座って困ったような笑顔を浮かべた。 「……禅、向こうではどう? 元気にしてるの?」
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