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「俺は禅の気持ちを知っていた。
禅はガキの頃から結衣が好きだった。
それこそ、俺と結衣が付き合い始める前からずっとな。
それでも、俺は結衣と結婚した。
そして禅のことは時間が解決すると思って何もしなかった。
だから、あんな勘違いが起こったんだよな」
漣はそう言うと、禅の髪をクシャッと撫でて言った。
「……悪かったな、禅。
お前にばっかり辛い思いをさせて、兄貴失格だな」
漣がそう言うと、禅は俯いて首を振った。
「……俺の勝手な片思いだったんだから、兄貴のせいじゃない。
それに、兄貴は俺をあの街に送り出してくれただろ」
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