決別

8/25
前へ
/595ページ
次へ
「わたしたちも全部知ってるからです」 沙希が真剣な表情でそう言うと、翔が頷いて言った。 「禅がキツイこと話すなら、俺らも力になりたいんで」 その言葉を聞いたマサは、ニカッと笑って頷いた。 「んじゃ、じっくり話を聞こうじゃねぇか」 それから、禅は実家での出来事を包み隠さず全て話した。 禅があの事件以来隠し続けていた結衣への想い。 そして、それに兄の漣が気付いていて、結衣と両親の前でバラしたこと。 それらを聞いたマサは、目を閉じて大きなため息をついた。 「……あの時、禅がどうしても惚れてる女の名前を言わないのか、ずっと気になってた。 でも、言わないんじゃなくて、言えなかったんだな」
/595ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5105人が本棚に入れています
本棚に追加