決別

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再び俯いてしまった結衣を見て、禅は苦笑して話を続けた。 「でも、あの頃にはもう兄貴は結衣さんのことが好きで、結衣さんも兄貴が好きだって気付いてた。 俺は何気にお兄ちゃん子だし、結衣さんからしたらガキだから、ずっと言えなかった」 禅はそう言うと、ブランコから立ち上がって結衣の方を見た。 「俺が昔作ってた歌、結衣さんはどう思う?」 突然の問いに、結衣は一瞬戸惑ってから答えた。 「歌詞に合ったメロディーが綺麗ですごく好きだよ。 ただ、歌詞は切なすぎかな。 失恋の歌ばっかりだから」 その言葉に禅は苦笑して言った。 「俺が作った歌、全部結衣さんへの気持ちを書いた歌なんだ。 だから、しかたないよ」
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