決別

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「……わたしだったんだ。 そっか……、そうだよね……」 結衣がそう言って俯くと、禅は肩をすくめて言った。 「俺が失恋の歌ばっかり作ってたのは、兄貴との関係を受け入れてたからだよ。 ただ、俺は初恋が結衣さんで、ずっと好きでいて、そんな人が兄貴と結婚した。 だから、整理がついていたはずなのに、やっぱり辛かった」 そう言うと、禅は目を閉じて呟いた。 「そして、引きずったままの状態で茜と出会った」 「禅……」 結衣は心配そうな表情で立ち上がったが、禅は首を振ると結衣の肩を制してブランコに座らせた。
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