一歩

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次の日の昼前、禅は沙希と翔と共に見慣れた道を歩いていた。 目的地は、かつてのバンドメンバーであるマコトのアパート。 茜との一件が、全て誤解だったことを説明するためだった。 そんな理由のために気が乗るわけもなく、禅は黙り込んでいた。 すると、そんな禅を心配して、翔が声をかけてきた。 「……禅、大丈夫か?」 その言葉に、禅は頷いて言った。 「気は乗らないけど大丈夫だ。 きっちりケジメをつけるさ」 すると、沙希が眉間にしわを寄せ、拳を握って言った。 「話を聞かないみたいだったら、力ずくで黙らせる」 その言葉に、禅と翔は呆れた表情で、声を揃えて言った。 「「アホか」」
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