一歩

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禅は部屋に入ると、無意識に中を見渡した。 すると、マコトが鼻を鳴らして言った。 「今さら珍しくもねぇだろ? 何も変わってねぇよ」 禅はその言葉に無言で頷くと、小さなテーブルの前で腰を下ろした。 禅の正面にはマコトが座り、沙希と翔は2人の横に陣取った。 「で、話ってのはなんだ?」 マコトが飲み物を出す様子もなくそう切り出すと、禅は目を閉じて言った。 「茜との事件の時のことで、あの時に言わなかったことを言いに来た」 「……今さらだけど、一応話だけは聞いてやるよ。 それで何かが変わるとは思えねぇけどな」 その言葉に、沙希がテーブルを両手で叩いた。
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