一歩

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「あんたねぇ――!」 「沙希、やめろって!」 翔が沙希の言葉に口を挟むと、禅が頷いて言った。 「やめろ。 何も変わらないと思ってるのは、俺も同じだからな」 「……分かった」 沙希がしぶしぶ納得して黙り込むと、マコトが改めて切り出した。 「それで、何を話さなかったってんだ?」 その問いに、禅はマコトの目を真っすぐ見つめて言った。 「あの時、お前たちは俺が茜のことが好きだと思ってた。 でも、それは違う。 俺が好きだったのは……義姉さん、結衣さんだった」 「な…に……?」 禅の言葉に、マコトは息を呑んだ。 しかし、禅は気にせずさらに言葉を紡いだ。
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