一歩

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そんな沙希の言葉に、マコトは動揺して呟いた。 「茜からだって……? それに、全て奪ったって……」 「俺がこの街で暮らせなくなった理由を、お前が知らないわけないだろ?」 そんな禅の言葉に、マコトは顔をゆがめて目を閉じた。 「そんなこと……今さら信じられるかよ……」 すると、黙って話を聞いていた翔が、立ち上がってマコトの胸倉を掴んだ。 「信じられないんじゃなくて、信じたくないだけだろ!? 信じちまったら、お前らが禅にしたことが罪にしかならないから、だから信じたくないんだろ!? でもな、そのせいで禅は今も苦しんでるんだぞ!」 「おい、翔……」 禅は翔を制しようと手を伸ばしたが、翔はその手を振りほどいた。
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