一歩

9/20
前へ
/595ページ
次へ
「禅はもっと恨み言を言っていいのにそうしようとしない! だから俺が代わりに言ってんだよ!」 翔はそう怒鳴ると、マコトを睨みつけて言った。 「あんたは禅の仲間だったんだろ!? なんで禅のこと、ほんの少しでも信じてやらなかったんだよ!? どうしても信じられないなら、茜って人にも聞いてみろよ!」 その言葉に、マコトはうなだれて呟いた。 「禅が裏切ったんじゃなくて……俺たちが禅を裏切ってたのか……?」 すると、禅は大きなため息をついて言った。 「翔、もういいから手を放せ。 代わりに怒ってくれて、サンキューな」 その言葉に、翔は舌打ちをしながらマコトの胸倉を掴んでいた手を、乱暴に放した。
/595ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5105人が本棚に入れています
本棚に追加