一歩

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それを見て、禅は立ち上がって言った。 「2人とも、帰るぞ。 もう話すことは何もないからな」 沙希と翔が頷いて立ち上がると、マコトが慌てて言った。 「禅、ちょっと待ってくれ!」 しかし、禅はマコトを見下ろして、感情を押し殺した声で言った。 「最初に言っただろ? 話しても何も変わらないってな。 俺とお前の関係は、何も変わらない」 そう言い放つと、禅は扉に向かって歩き出した。 すると、マコトはテーブルに乗っていた紙に、急いで何かを書き込んで、それを無理矢理禅に渡した。 「……茜の連絡先だ。 あの頃、一緒にいた女の子たちから聞いた物だから間違いないと思う」
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