一歩

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その言葉に、翔が肩をすくめて言った。 「禅はもっと怒っていい立場だと思うけどな。 まぁ、禅がそれでいいって言うなら約束するけど。 俺も女相手に怒鳴ったりしたくないしな」 禅はその言葉に苦笑すると、ポケットから携帯とマコトから渡された紙を取り出した。 禅は一度大きく深呼吸してから、そこに書かれた番号に電話をかけた。 1回、2回、3回。 呼び出し音がなる度に、心臓の音が大きくなる。 すると、5回目の呼び出し音の後、電話が繋がった。 『もしもし……?』 電話越しに聞こえた茜の声を聞いて、禅はもう一度深呼吸して言った。 「……茜、だよな? 俺、禅だけど……」
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