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茜のいる大学に着くと、翔が禅に尋ねた。
「……勝手に入って大丈夫か?」
その問いに、禅は苦笑して頷いた。
「こっちにいた頃は、何回か来てるけどバレたことねぇって。
講義によっちゃ、受けてもバレねぇよ」
そう言うと、禅は慣れた様子で大学の門をくぐった。
そして、少し奥に行ったところにあるベンチに、1人の女性が座っていた。
「……よう。久しぶりだな、茜」
禅がそう声をかけると、茜は立ち上がって禅を見つめた。
「禅……、それに、隣の子は禅に会いに行った時の……」
「……橘 沙希です」
沙希が茜をジッと見つめてそう言うと、隣にいる翔がバツが悪そうに言った。
「俺は渡利 翔です。
その、禅の付き添いで……」
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