一歩

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「わたしは、浜野 茜です。 ……知っているとは思うけど」 茜がそう言って俯くと、禅はため息をついて言った。 「ここじゃなんだし、場所を変えよう。 誰もいないところの方がいいな」 茜はその言葉に頷いて、3人を使用中ではない講堂に連れていった。 「それで、話って……?」 茜が恐る恐る尋ねると、禅は目を閉じて言った。 「もちろん、あの時のことだ。 ここに来る前、マコトにも会ってきた」 「そっか……、話したんだね?」 茜の言葉に、禅は頷いて言った。 「茜が知らないことも、全部な」 「わたしが知らないこと……? もしかして、禅があの頃好きだった人のこと?」
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