一歩

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その言葉に、茜は寂しそうな表情で禅を見つめて言った。 「あの時のことは、全部わたしのせい。 マコトと付き合ってたのに禅にあんなことをした。 友達の目を気にして、禅が好きって気持ちを誤魔化した。 そして、怖くて本当のことを話せなかった。 わたしが、禅を苦しめてる」 その言葉に、禅は首を振って言った。 「それは違う。 俺もマコトも茜も、きっと誰も悪くなくて、みんな悪いんだ」 しかし、茜は首を振って言った。 「禅は悪くない。 禅は、わたしとマコトが上手くいくように相談に乗ってくれたり、みんなが笑っていられるようにしてた。 お義姉さんへの気持ちを黙ってたのも、そのためでしょ? マコトだって、わたしのせいであんなことをしたんだから……」
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