一歩

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その言葉に、茜はキツク目を閉じて俯いた。 すると、禅は茜に一歩近付いて、茜の肩を叩いた。 「茜、もう自分を責めるのをやめろよ。 お前はもう、十分苦しんだと思うから……。 だから、俺は茜を許すよ」 「禅……」 茜が涙の溜まった瞳で禅を見つめると、禅は口元を緩めて言った。 「俺は、これで過去とケジメをつけたことにする。 そんなに簡単なことじゃないけど、もう過去を言い訳にするのはやめる。 だから、茜ももう気にするな」 その言葉を聞いた茜の瞳から涙が零れ、茜は涙を拭うことなく、ニッコリ微笑んで言った。 「……ありがとう、禅。 ……本当に……大好きだったよ」
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