独歩

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「あっ、神谷先輩……!こ、こんにちは!」 禅は声をかけられて立ち止まると、声をかけてきた女子生徒の顔を見つめた。 「お前は……たしか、佐々木 裕紀だったか? 前にライヴに来てたよな?」 「はい、そうです!」 禅が記憶を頼りに尋ねると、裕紀が嬉しそうに頷いた。 すると、禅は裕紀の右手の人差し指と中指に巻かれた包帯に気付いた。 「……その指、怪我したのか?」 禅が眉をひそめて尋ねると、裕紀はシュンとうなだれて言った。 「体育の授業で突き指しちゃって……。 それで、部活でピアノが弾けなくって、それを佐奈先輩に言いに来たんです……」
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