独歩

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「んじゃ、そういうことで」 禅はそう言って、屋上に向かって歩き出した。 屋上に着いた時、ちょうどチャイムが鳴ったが、禅は気にせずタバコに火をつけた。 というより、授業中なら誰も来ないため、のんびり吸えるので狙っていた。 しかし、禅が一息目を吐き出したところで、背後から扉が開く音がした。 禅はその音に驚いて、思わず後ろを振り返った。 するとそこには笑顔の佐奈がいて、ニコニコしながら禅に近付いてきた。 「禅くんが授業を抜け出す時って、タバコ吸ってたんだ」 「……授業中だぞ」 禅が顔をしかめてそう言うと、佐奈はクスクス笑って禅に言った。 「それなら、禅くんも一緒でしょ?」
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