独歩

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「渡利くんのこと、信頼してるんだね」 佐奈が笑顔で言った言葉に、禅は目を閉じて言った。 「信頼か……。 もう、新しく誰かを信じるなんてないと思ってたけどな」 すると、佐奈は空を見上げて言った。 「今はまだ無理でも、きっともっと多くの人を、信じることが出来るようになるよ。 何があったか知らないわたしが言っても、説得力ないかもしれないけどね」 佐奈がおどけてそう言うと、禅は苦笑してタバコの火を消した。 「そうなるといいな。 昔みたいにそう出来たらいいって、俺も思う」 そんな禅の言葉に、佐奈はニッコリ笑った。 「そう望んでるなら、きっと変われるよ。 さっ、教室帰ろう?」
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