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「じゃあ、作曲のために覚えたってこと?」
佐奈の問いに、禅は無言で頷いた。
すると、裕紀が目を輝かせて禅に尋ねた。
「禅先輩って、たしか転校生ですよね?
もしかして、橘先輩と組む前に、バンド組んでたりしました?」
その問いに、禅は不機嫌そうに眉間にしわを寄せた。
ケジメをつけたとはいえ、突然その話題を切り出され、思わずイラついてしまったから。
しかし、それをグッと堪え、大きくため息を吐き出すと、頷いて肯定した。
「……昔、1回だけバンドを組んでたことがある。
その時はギタリストで、サブボーカルもしてた。
……悪いけど、これ以上は聞かないでくれ」
そんな禅の言葉と様子に、裕紀は小さくなって頭を下げた。
「あ、あの……気を悪くさせちゃったみたいでごめんなさい……」
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