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「わたしも少し追っかけたところで諦めたんだけど、引き返してきたら禅がいたんだよね」
沙希はそう言うと、ニコニコしながら禅の左腕に腕を絡めた。
「もう逃がさないよ」
禅はため息をついて言った。
「逃げないから腕を放せ」
「嘘」
「嘘じゃない。暑苦しいから放せ」
沙希は禅を疑いの目で見た。
「つうかさ……」
禅は沙希から目をそらして言った。
「ここどこだ?」
沙希はキョトンとして禅を見ていた。
「……適当に歩いてきたから道がわからん」
禅が顔を少し赤らめて言うと、沙希はおずおずと尋ねた。
「禅さ、……もしかして迷子?」
「うるせぇ」
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