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その問いに、裕紀は夜空を見上げて答えた。
「去年の夏休み明けなんですけど、神谷先輩が音楽室にいるの見たことがあるんです。
合唱部は休みだったんですけど、忘れ物をして取りに行ったら、神谷先輩が１人で掃除してました」
その言葉に、禅は１年前のことを思い出そうとした。
そして、すぐに思い当たる節があった。
たしかに転校してすぐ、掃除をサボり続けたせいで音楽室を１人で掃除をしたことがある。
その時、うっかり沙希に歌を聴かれたことがあったので、間違いない。
「あの時か……」
禅がそう呟くと、裕紀は頷いて言った。
「なんで１人で掃除してるのかなって気になって、部活の先輩に聞いたんです。
そしたら、先輩は
『神谷君は転校初日から先生に目をつけられた問題児だから、関わらない方がいい』
って言ってました」
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