後輩

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「だろうな」 禅が苦笑してそう言うと、裕紀は俯いて言った。 「でも、その後も気になってたんです。 机はちゃんと並べてあったし、ピアノまで綺麗にしてあって、本当に怖い人はこんなことするのかなって。 それで、神谷先輩を見つける度に目で追っかけてました」 「……気がつかなかったな」 禅がそう言うと、裕紀は苦笑して言った。 「それはそうですよ。 声をかけたことありませんでしたから。 神谷先輩、屋上でタバコ吸ってるし、やっぱり声かけにくかったですよ」 「まっ、少なくとも優等生ではないし、人を近寄らせないようにしてたからな。 よっぽどの物好きじゃないと声をかけたりしねぇわな」
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