後輩

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そんな禅の言葉に、裕紀は沈痛な表情で首を振った。 「凄くなんてないです……。 ただ、神谷先輩を見てたから分かっただけですから。 でも、わたしはずっと見てただけなのに、沙希先輩はいつも神谷先輩の隣にいました。 今じゃ佐奈先輩だって自然に神谷先輩と話してて、羨ましいです」 「……今は、お前に話しかけられても構わないけどな」 禅がそう告げると、裕紀は静かに首を振った。 「たしかに、神谷先輩と話せるようになりました。 でも、今はそれじゃ満足出来ないんです。 佐奈先輩より、沙希先輩より、神谷先輩の側にいたいって、そう思うようになっちゃったから」 そう言って、裕紀は禅の方に体を向け、禅の目を見つめた。 「……わたし、神谷先輩のことがずっと好きでした。 だから、わたしと付き合ってください」
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