後輩

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その告白に、禅の頭は一瞬で真っ白になった。 そして、すぐに過去の情景が浮かんできた。 茜の告白。 その後、仲間からされた行為。 自分を冷たく見つめる周囲の瞳。 (過去を言い訳にしないって決めただろ……!) 心の中でそう呟いて自分を叱咤しても、上手く言葉が出てこない。 ただただ、全身から嫌な汗が噴き出してくる。 額に浮かぶ汗を袖で拭い、言葉をなんとかしぼり出す。 「俺は……人の好意が……怖いんだ………」 かすれた声でそう告げる。 それしか言葉が出てこない。 そんな禅を、裕紀はじっと見上げてくる。 「……転校してくる前のことが関係してるんですか?」
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