5105人が本棚に入れています
本棚に追加
禅は不良と噂になっていたにも関わらず、そういった目ではなく禅を見ていた。
そして、話をするようになってからのことも、禅に対する考えは的を得ていた。
驚くと同時に、喜びさえ感じるほどに。
「……昔の俺なら、付き合ってたかもな」
そんな感想を漏らす。
それでも、どうしても付き合うことは出来ないと思った。
告白された時、最初に感じたのは恐怖だったから。
禅はため息をつき、タバコを取り出した。
しかし、火を着けようにも、手が震えて上手くいかない。
それに対し、禅は舌打ちをする。
「……前に進むとか言っておいて……全然ダメじゃねぇかよ」
そう呟くと、禅は自分に嫌気がさしてきた。
「バカ野郎……」
自分に対する怒りが込み上げてくる。
そんな禅の怒りは、晴れることなく刺となって胸に突き刺さった。
最初のコメントを投稿しよう！