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禅はアパートのドアを開けた瞬間後悔した。
実家から送られてきた荷物、つまり楽器がそのまま出されたままだったからだ。
「あーーー!」
次の瞬間には沙希が靴を脱ぎすてて部屋に入っていた。
「やっぱり音楽やってるんじゃん」
沙希は嬉しそうにギターを手に取った。
「……やってねぇって」
禅はうんざりしながらベッドに腰掛けた。
「じゃあこれはどう説明するの?」
沙希はギターをポンポンと叩きながら尋ねた。
「……実家から送ってきただけだ。もう触るつもりもない」
禅は不機嫌に眉をひそめてタバコに火をつけた。
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