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「『何があったの?』なんて聞かない。禅が話したくなったら話してくれたらいいよ」
「……話すつもりはない」
禅は動揺を隠しながらゆっくりと言った。
すると沙希はニヤリと笑った。
禅はその笑顔を見て不安になった。
「禅は今、音楽が好きってことと、何かあったことを認めたよ?」
沙希の言葉に禅は慌てた。
そして大きくため息をついた。
「……たしかに、認める。それでも全部過去だ。好きだった。あった。もうどうでもいいことだ」
そう言って禅は乱暴にタバコを灰皿におしつけた。
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