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歌を聴くのは翔だけだったが、沙希は少し緊張していた。
目を閉じて手を胸にそえ、大きく深呼吸した。
そして緊張がほぐれたところで目を開いて禅を見た。
禅と目があい、準備が出来たと言うように無言で頷いた。
それを合図に禅はギターを構え直し、そっと演奏を始めた。
2人がやるのはバラード。
幾分静かになった深夜の駅前に、沙希の透き通った歌声と、禅のやわらかな演奏が響く。
禅の演奏は正確で、コードを変えるのもスムーズだった。
編曲したメロディーも、沙希の歌声を引き立たせていた。
2人の演奏を聴いていた翔は身震いし、両腕に鳥肌がたっていた。
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