5105人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、言った通り禅は沙希にギターを教えなかった。
沙希がアパートに迎えに行ったが禅はいなかった。
歌いに行っていればその場に来るかもしれないと思ったが禅は来なかった。
帰りにもう一度アパートに寄っても、中に人の気配はなかった。
沙希はそれに悲しみを感じたが、それに気付いていた翔が日曜日に朝から沙希を連れだした。
翔はなんとか話題をふったが、沙希はあいまいな返事をするだけだった。
駅前の店で2人で昼食をとった後、翔は耐えかねて禅の話題をふった。
「沙希、気にしすぎじゃないのか?明日また学校あるし、その時話せるって!」
「……禅、学校くるかな?……サボっちゃう気がする」
沈痛な表情をした沙希の言葉に翔は何も言えなくなった。
そしてそんな沙希の顔を見ているのが辛くなり、視線をそらした。
最初のコメントを投稿しよう!