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2人は口を押さえて息を殺して禅たちが通り過ぎるのを待った。
禅が2人の前を通った瞬間、2人は目を疑った。
禅は歳相応の少年の笑顔で、声を出して笑っていた。
2人は目を丸くして禅の背中を見た。
「……俺、神谷が笑ったとこ初めて見た」
翔がそう呟くと沙希も頷いた。
「わたしは1回見たことあるけど、あんな感じじゃなかったよ」
2人は顔を見合わせた。
「あの女の人の前だからかな?」
沙希が尋ねると、翔は小さくなっていく禅の背中を見つめた。
「わかんねぇけど、少なくとも俺たちが知ってる神谷じゃなかったよな?」
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