片鱗

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ビルに入っていったナオの背中を見て、マサはため息をついた。 「悪いな。あいつもいい奴なんだけど、禅のことになると熱くなりすぎるんだ」 「いえ……。ナオさんの言う通りですから……」 翔は後悔している様子で力なくそう言った。 「……禅はこれ以上関わらないでって言ったんだから、ここであなたたちが禅に関わらなくなっても誰も責めない。でも、それでもって思うなら今日の夜ここに来て」 そう言って結衣は2人にチケットを渡した。 「それは今日のライブのチケットだな。禅は絶対くる。だからお前らが禅に関わるって決めたんなら『何がなんでも関わってやる』って言ってやれよ」 マサはそう言ってニカッと笑った。
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