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あれから5分くらいたっただろうか。
一向に動く気配のない光に、危機が訪れた。
光が座っている、すぐ後ろの堤防の上にある舗装された道路を、爆音で走るバイクが4台、光に近づいてくる。
「あぁぁっ!あいつ、この前の奴じゃねぇか!?」
先頭を走っているスキンヘッドの、厳ついお兄ちゃんが叫んだ。
「あ、確かに奴ですね、アレ」
パンチパーマのお兄ちゃんがそう言うと、スキンヘッドがバイクを止めた。
後ろを走っていた3台もそれに続いた。
スキンヘッドとそのお友達は、ニヤニヤしながら土手を下りる。
「よぉ兄ちゃん、久しぶりだねぇ?」
「えっ!?」
光は驚いて後ろを振り向いた。
「げっ、お前等かよ・・・」
スキンヘッド達は、その言葉を聞いて光を睨みつけた。
「てめぇ、今日は逃がさねぇからな!」
畜生!なんで今日みたいな日にコイツ等が・・・
話せば長くなるが、春休みに俺がここの堤防で、タマを散歩させているときだった。
いつものことだけど、タマはウンコをした。そう、道路の真ん中で。
そしてコレも、いつものことだけど、俺はウンコを放置した。そう、面倒だから。
その時、前から厳ついお兄ちゃん達がバイクで走ってきた。
俺とお兄ちゃん達がすれ違った後、後ろの方で、もの凄い音がした。振り返るとスキンヘッドが転んでいた。タマがウンコをしたところで。
俺とタマは、すぐにダッシュした。
少し追いかけられたが、振り切ることが出来た。
めでたし、めでたし。じゃねーよ!
そのスキンヘッドが目の前でブチ切れてるんだよ!
「あのぉ、何かようですか?」
こうゆう時は下手に・・・って、コレはちょっとやばい感じのニュアンス含んだ発言じゃね!?
「あぁ!?用は沢山あるわ!てめぇのウンコで俺の愛車にキズがついちまったんだぞ!?」
うわぁ、やっぱりマズかった・・・
それにしても、なんかムカつく。
「お言葉ですが、あれは俺のウンコじゃありません」
光は満面の営業スマイルで、そう言った。
「おいコラァ!ナメてんのか!?」
光はまた、満面の営業スマイルを浮かべながら言った。
「いや、ナメてないです。貴方、怖いですし」
「ふざけてんじゃねーぞ!!」
スキンヘッドが凄い形相で光を睨みつけ、右腕を振りかぶった。
うわっ、殴られる!?
バシッ!
スキンヘッドの右腕を、右にいた金髪のロン毛が片手で止めた。
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