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初登校の日、僕はいつになく浮かない気持ちでいた。
見たことのない家。
見たことのない道。
見たことのない人。
そして、話したことのないクラスメイト。
そのどれもが、僕の心を奥深く閉じ込めさせた。
孤独。
知らない世界に一人放り出され、右も左もわからないままさまよい歩く。
ふらふらと頼りなく進む足を、いつの間にか不安が絡め取る。
僕は引き返して部屋に閉じこもっていたい衝動を、どうにか抑えつけて歩いた。
この坂道を登れば、新しい学校生活がはじまる。
両脇の桜並木が僕を優しく包んでくれるような気がしたけど、落ちる花びらは僕に何も語りはしなかった。
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