Ⅱ・後ろの席

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初登校の日、僕はいつになく浮かない気持ちでいた。 見たことのない家。 見たことのない道。 見たことのない人。 そして、話したことのないクラスメイト。 そのどれもが、僕の心を奥深く閉じ込めさせた。 孤独。 知らない世界に一人放り出され、右も左もわからないままさまよい歩く。 ふらふらと頼りなく進む足を、いつの間にか不安が絡め取る。 僕は引き返して部屋に閉じこもっていたい衝動を、どうにか抑えつけて歩いた。 この坂道を登れば、新しい学校生活がはじまる。 両脇の桜並木が僕を優しく包んでくれるような気がしたけど、落ちる花びらは僕に何も語りはしなかった。
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