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永倉は、雪斗の目にかかった前髪を除けてやりながら思考を巡らせていた。
(総司と試合した時や、普段の稽古を見てても、今回の“あれ”は異常だ)
そう。
永倉が考えて居たのは、1つ目は雪斗のスピード。
かなり長州の男とは距離が開いていたにも関わらず、何でもないかのように追い付き、そして直ぐさま切り伏せた。
あの距離を追い付くだなんで、長州の男が有り得ないくらい足が遅くなければ、自分では不可能だ。
新撰組でNo.1の速さを誇る沖田でさえも、あの状況で追い付く事は難しいだろう。
それに雪斗は、屯所から走って来た筈だ。
あの小さい体の、どこにそんなスタミナがあるというのだろうか。
永倉には俄かに信じられなかった。
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