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「ったく…」
考えても仕方ない。
仕方ないのは解ってはいるものの、永倉は考えずにはいられなかった。
あの時の、雪斗の冷たい瞳。
あれが、頭から離れないのだ。
(あんな目ぇするっつー事は…何か背負い込んでんのかもなァ…)
そうは思っても、当の本人は起きる以前に記憶喪失。
聞いたところで、過去の話を覚えているとは思えなかった。
-…ただ、永倉でさえ“あの”瞳を見た瞬間、背筋が凍った。
それ程冷たい表情で、斬り捨てた相手を雪斗は見下ろしていたのだ。
何もないとは、思えなかった。
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